大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和51年(ネ)2130号 判決

1 本件売買代金は、民法第一七三条第一号の「商品ノ代価」に該当するものであるところ、右売買代金については、控訴人の支払命令の申立により、昭和四九年一〇月九日、豊橋簡易裁判所から支払命令が発せられたこと、これに対する被控訴人の適法な異議の申立により名古屋地方裁判所豊橋支部に係属する訴訟に移行したこと及び控訴人が補正命令に応じて所定の印紙を追貼することをしなかったため同年一一月一二日に訴状が却下されたことは当事者間に争いがない。そして、≪証拠≫によると、右支払命令の申立は同年一〇月五日になされ、支払命令は同月一一日に被控訴人に送達されたことが認められ、また、同年一二月二〇日に控訴人が本訴を東京地方裁判所に提起したことは当裁判所に顕著な事実である。

2 ところで、右の事実によれば、本件支払命令は、その発令後相手方の適法な異議の申立により訴訟に移行し、その後原告である申立人が所定の印紙を追貼しなかったため訴状却下により事件が終了しているものであるから、右支払命令自体は時効中断の効力を有しないことは明らかであるが、かように訴訟上の請求としては時効中断の効力を有しない支払命令であっても、当該支払命令が相手方に送達されることにより私法上の催告の効力を有するものであり、したがって、民法第一五三条により、右催告から六か月内に裁判上の請求等をすることにより、時効中断の効力を生ずるものと解するのが相当である。これを本件についてみるに、本件支払命令は控訴人が昭和四九年一〇月五日にその申立をし、同支払命令は同月一一日に被控訴人に送達され、右送達の日から六か月内の日である同年一二月二〇日控訴人が本訴を提起したものであることは前記のとおりであるから、本件売買代金債権の消滅時効は、昭和四九年一〇月一一日以降中断しているものであり、控訴人の再抗弁は理由がある。

(小林 鈴木 浦野)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!